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Kwita Izina - マウンテンゴリラネーミングセレモニー

Musanze(Ruhengeri)
6月20日、ルワンダ誇る Volcanoes National Park にて、第5回 Kwita Izina が開催されました。Kwita Izina は、前年に生まれたマウンテンゴリラの子供に名前を付ける儀式で、ルワンダ共和国あげての式典 (Reutersニュースはこちらから)。/ 写真=会場に大きく掛った Kwita Izina のシンボル (Photo©Kadae.C)

招待者には、ルワンダ共和国首相やMinister of Trade and Industry、ルワンダ北部地方の県知事、アメリカ大使やドイツ大使など外交官メンバーが名を連ね、また、国連で「2009年ゴリラの年」と決定されたことにちなみ任命された国連特別大使、国連常駐代表など、政府・国際機関関係者をはじめ、投資家、起業家、マウンテンゴリラ保護関係機関、研究機関、コミュニティ開発機関、世界各国からのメディア関係者などが勢ぞろい。ルワンダの豊かな自然とエコ・ツアリズム、コミュニティと一体になったマウンテンゴリラ保護活動を称え、生まれてきた新たな命を皆で祝う、という年にたった一度のこの日は、多彩な工夫が施され、地域一体を色豊かな雰囲気に包みこんでいました。

そしてなによりも、そこには15年前に起こったあの民族紛争の悲劇から力強く立ち直り復興を進めるルワンダがあり、まさにそれは、未来に向ける「生命」に潤ったエネルギッシュな「ルワンダ共和国」の象徴とでもいうべきもの。

朝8時。雄大な自然に包まれた National Park のふもとで、この時間から多くのパフォーマンスが催されました。ルワンダや東アフリカで著名なアーティスト、伝統舞踊グループ Inganzo Ngari による歌と踊りの舞台、ルワンダの民族舞踊、また、マウンテンゴリラと現地コミュニティをテーマにした地元ユースグループによる演劇など様々。


写真=ルワンダ伝統舞踊を披露する Inganzo Ngari (Photo©Kadae.C)

この大がかりな式典。正式な招待状を持つ者のみが参加できるもの。式内入場は厳重に管理され、ところどころに立つ軍関係者がじっくりと招待状を確認していきます。しかし、いったん敷地内に入れば、首都キガリを拠点にビジネスを広げる Bourbon Café よりコーヒーやクッキー、ペイストリーがふるまわれ、広大な緑を舞台に鮮やかな音楽と文化パフォーマンスなど、五感を刺激するものばかり。


写真=式典で繰り広げられる様々な文化的催し。女性は美しく舞い踊り、男性は勇ましく大地を蹴りあげる。(Photo©Kadae.C)

さて、この日ハイライトとなる18頭の子供マウンテンゴリの名付けイベント。ルワンダのマウンテンゴリラ・エコ・ツアリズムやVolcanoes National Park の環境発展に貢献した18名により発表された名前は、それぞれ個性に富んだ意味あいを持つもの。

1. Ijeneza – Future is bright (輝かしい将来)
2. Uzarama – everlasting life (永遠に続く命)
3. Keza – she is very beautiful (とても美しい彼女)
4. Shyrambere – Go forward (前進)
5. Ngwino – come (到来)
6. Shishikara – Have courage (勇気を持って)
7. Agahozo – Consolation (慰め)
8. Gutungurwa – Surprise (驚き)
9. Ingenzi – Necessary (必性)
10. Umutesi – spoiled child (あまやかs)
11. Ingabo – army (軍人のように強く)
12. Umurinzi – Protector (Immigrated; not yet known from where)

(移民してきたばかりで、まだ不思議に満ちている)
13. Komeza – Go ahead (さぁ、どうぞ)
14. Dukore – let’s work (さぁ、やろう!)
15. Akarusho – the special (特別)
16. Umuganda – work together (ともに活動しよう)
17. Ubudehe – work together to achieve fruits (協力して達成しよう)
18. Inkubito – at the frontline of a battle (戦いの前線)



こうして、マウンテンゴリラの数が増え、コミュニティがここの豊かな自然に「自信」「オーナーシップ」を持つことができるのも、ルワンダ政府をはじめ、環境や開発 NGO、そしてなにより現地コミュニティが一体となってマウンテンゴリラを中心としたエコ・ツアリズムを奨励しているからこそであり、生物多様性・天然資源を守るため、日々協力して様々なコミュニティ開発活動を行ってきた努力のたまもの。環境と共存し存続していくことは、持続的開発のサイクルの一部であり、天然資源に頼り生活する現地コミュニティの人々にとって基本的・最重要項目の一つなのです。

ルワンダの未来を象徴するエネルギッシュなこの式典。たった一つ、しかし非常に心残りなことが。それは、招待者に課せられた制限地元コミュニティの人々の参加は許されず、何百人もの人が敷地の外からフェンス越しに中を眺めるのみだったのです。振る舞われたコーヒーやペイストリー、式典後の豪華な昼食事など、彼らには一切振る舞われることはなく、招待者と彼らが交流を図ることすらなかったのです。低いフェンスを隔てて広がる全く違った二つの世界。低いフェンスも、非常に高い壁となって立ちはだかっていたのが現実。 / 写真=会場外に集まる地元住人たち。フェンスを隔ててのみ、Kwita Izina を "見学" している。(Photo©Kadae.C)

自然環境と地元住民は非常に深くかかわっているのは明らか。特にルワンダは、国家経済も国民生活も天然資源やエコ・ツアリズムなどにそのほとんどを依存しているのが現状。更に、National Park 周辺は、1平方キロメートルあたり450~600人が住むという世界屈指の人口過密地帯。この状況の中、マウンテンゴリラの保護や関連活動、National Park 周辺の生物多様性・天然資源・環境保護は、地元住民の協力が不可欠であり、彼らの理解・協力無くしては成り立たない活動です。マウンテンゴリラの誕生は、政府や国連機関、開発コミュニティ、地元コミュニティすべてにとって同様に受け取られるべきもの

国を挙げての式典-これにも、コミュニティの「オーナーシップ」が確立されるべきものであり、将来、この Kwita Izina がより現地コミュニティに根付き、すべてのセクターが同様に参加し祝うことができる日が訪れることを願います。


写真=Kwita Izina の式典会場。マウンテン・ゴリラが生息する Volcanoes National Park のふもとが会場となり、ルワンダの生物多様性を代表する地区。(Photo©Kadae.C)