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気候変動から見るアフリカの日常

2010年5月20日 - 来月6月は世界環境デー。今年の夏には、生物多様性を考える COP10 が名古屋で開催されます。2008年に、UNDP が気候変動に関する人間開発報告書を発行してから、環境への意識、気候変動に対する危機感が一揆に高まりました。あの頃は、洪水があれば、気候変動の影響。大雨が降れば、気候変動の影響。雨が少なく作物が育たなければ、地球温暖化。と、メディアを中心に世界が大騒ぎ。そのころと比べると、昨年の中ごろからかは世界の「騒ぎ」が小さくなったような気がします。

アフリカにいて思うことがあります。気候変動は、本当に毎日の生活に深刻な影響をもたらしているのだと。ルワンダでは、異常なまでの降水量を記録し、キガリ市の一部が洪水に。伝統的な雨期・雨量のパターンに沿って農業を進めている農家の人たちが口をそろえて言うこと:「雨のパターンが変わり予測できないから、作物を育てられない」と。

アフリカの農業のほとんどを女性が担っているという事実。ルワンダも同じです。農業でやっと生計を立てていても、気候変動で影響が出れば、収入源を経つのところで探さなくてはいけません。洪水が起こったり乾季が長くなれば、水汲みも遠くへ行かなくてはなりません。女性の仕事・女子の活動に大きな影響が出るのです。

ケニアの田舎に Ikuta というところがあります。ここ、過去4年間、ほとんどまともな雨が降っていない地域。土地は乾ききり、作物など育つどころではない。飲み水さえままならず、日常、いたるところで食糧供給が行われ、人々が列をなして順番を待っています。援助機関からも忘れ去られた地域です。


写真=ケニヤのIKUTA。かつては援助機関が入っていたこの地域、プロジェクトが終わり、置き去りに。ここ4年間まともな雨が降らず、あたりには食糧供給に並ぶ人の列があちらこちらでみられる。(Photo©Kadae.C

この地域に、女子の職業訓練学校があります。ここ最近、生徒が減っています。その主な原因が、「わずかな授業料が払えない」、と母親が娘の学校をやめさせるのです。なぜ、払えないのか。それは、言うまでもなく、これまで行ってきた農業で米や豆を収穫し、それを収入源としていた母親たち。4年間もまともな雨が降っていない地域で、作物を育てられるわけがない。むろん、収入源は減。女子たちは職業訓練学校をやめ、最悪は道端に立って sex worker の仕事に

気候変動は、地球規模の課題。同時に、毎日を生きるためには避けることのできない大きな問題でもあります。人一人の人生に大きな影響を及ぼし、人間の開発をむしばむ。時折起こる洪水や大雨だけでなく、「今日の生活」「明日の生活」「娘の教育」にとって大きな壁なのです。