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東アフリカが、今、「動く」:ジェンダー平等性へ向けて

Kigali, Rwanda- ウガンダ、タンザニア、ケニア、ブルンディ、ルワンダの5カ国をまたにかける東アフリカ。貧困や紛争、復興過程にある国で、政策決定過程におけるジェンダー平等の欠落、教育や社会的サービスへの女性のアクセスの欠如、女性に向けられた暴力、紛争の戦略としての性的暴力による女性の抑圧など、女性が直面する問題は社会のあらゆる場面に根を張りめぐらしています。こうした問題は、ジェンダーの平等性にとどまらず、国家の社会・経済的発展、また、「人間の開発」そのものに多大なる影響を及ぼします。


国連開発計画(UNDP)が発行する人間開発報告書2007/2008年版によると、東アフリカのジェンダー開発指標の平均は、177カ国中140位。一方、近年、この地域は、特にルワンダ共和国において議席の半数以上を女性が占めており、政策決定過程に女性のニーズを反映させていることで、ジェンダー平等性の観点からモデル国として東アフリカ内外で大きな注目を集めています。同じ地域にありながら、政策過程にける女性参加の割合が、タンザニアやブルンディではおよそ30%ケニアにおいては10%を下回っています。しかし、こうしたジェンダーの不平等性が、今、東アフリカ共同体で大きく変化しようとしています。
[東アフリカ共同体]ウガンダでは、同国の市民社会が中心となって、東アフリカの「ジェンダーの平等性」に向け大きく動き始めています。カンパラに本部を置く女性組織 East African Sub-Regional Initiative が中心となり、East African Declaration on Gender Equality に向けてキャンペーンを実施。東アフリカ 5カ国全ての政府に対し、ジェンダー平等法とその実施に基づく一定の規定を設け、政策決定過程におけるジェンダーギャップを解消するため、東アフリカ地域唯一の法的拘束力のある文書を策定することを目的としています。これは、1999年に東アフリカ共同体(EAC)が再建された際に決定された Article 121(5カ国全ての政府は、全ての政策決定過程における女性の参加を支援するため、必要な法を策定すること)と並ぶもの。すでに、専門家による法案作成が始まっており、今後2年の間に5カ国全ての政府による認可が期待されています。

こうしたジェンダーギャップを埋める動きは、東アフリカ共同体としてのものに限ったことではありません。個々の国を見てみても、様々な動きが見られます。

[タンザニア]
タンザニアでは最近、女性向けの銀行が開設されました。この「タンザニア女性銀行」は、男女問わず、全ての人が口座を開設することができる一方で、とりわけ女性のニーズに応じたサービスを提供しています。知識が少なく貧しい女性にとって、銀行口座を開くことは容易ではありません。銀行の知識がない、口座開設の資金がない、一定の収入がない、社会的地位がないなど、様々な理由により銀行へのアクセスがない女性たち。この女性銀行は、そんな女性たちを対象に、およそ2ドルという非常に低額な資金とIDカードだけで口座開設を可能にしているだけでなく、女性たちがしっかりとした理解のもと、安心して口座を開設し、長期的・持続的に銀行を利用していけるよう、専門家グループを配置し、女性たちを支援します。

[ルワンダ]ルワンダでは、今年4月、ドメスティック・バイオレンスに関する法案が可決。ドメスティック・バイオレンスと貧困の関連性を明確に提示しているこの法案は、北京議定書や CEDAW などの国際協定だけでなく、ルワンダの2003年度の憲法や伝統的裁判法 Gacaca なども認識し、1994年の大量虐殺の際に性的暴力に合った女性たちにも公正をもたらすものとして大きく注目を浴びています。

また、今年に入って、ルワンダ政府は、女性の経済能力を強化することを目的とした新たなプログラム「Women Guarantee Fund」を立ち上げました。これは、とりわけ地方の農村地域に住む貧しい女性たちがマイクロ・クレジットによりアクセスできるよう設立されたもの、これまでに女性組合を含む6568人もの女性がこのプログラムの受益者となり、コーヒー農園や小規模ビジネスなどの活動を通して利益を受けています。ルワンダ中央銀行が中心となり、非常に厳しい女性受益者選考過程の実施から資金の配分、受益者のプロジェクト活動のモニタリングを行っているほか、知識の有無にかかわらずより多くの貧しい女性たちがこのプログラムにより利益を得られるよう、ルワンダ政府は、女性トレーナー育成に向けてのトレーニング (ToT: Training of Trainers) の機会を提供しています。これまでに82名もの女性たちが、ToT を通してローンの仕組みやプロジェクトの進め方、ローン応募に際しての必要事項など、プログラム参加にあたって必要な知識を身に付けており、こうした女性トレーナーを通して、さらに多くの女性たちが新たなマイクロ・クレジットプログラムへアクセスできることが期待されています。
今後も、それぞれの国で、そして東アフリカ共同体として多くの変化が生まれます。今、東アフリカが 「動いて」 います。